春日記

トルコ 手仕事をめぐる旅 vol.05 |アイシェの嫁入り持参品

アイシェと私は2歳違い。
親近感。
お嫁にいったのは18歳。
わ、早い!
そして嫁入り持参品(チェイズ)を作り始めたのは7歳!びっくり!

アイシェ、絨毯だけでなく、あらゆる手芸が得意。
当時は絨毯も織れて、刺繍もできないとお嫁にいけなかったとか。
嫁入り前に持参品を親戚や近所の人に披露する習慣があったそうです。

さて、今回は我々に披露してくれました😊

「これは私が7〜8歳の頃に刺繍したもの。お母さんはできるわけないと言ってたけれど、見よう見まねで一生懸命に刺繍したの。できたのを見て、いい布を渡してくれるようになったのよ」

それが、このお花のクロスステッチ
ええええ、7歳でこんなに?
驚くことに、縁編みのレースも同じ時期に編んだそう。

レベルが高すぎる!大尊敬!

かわいい刺繍布、次々に出てきます。

レース編みも。ボンジュクオヤ(ビーズを編み込んだレース)も。

礼拝用の敷物にも美しい刺繍。

布団も手作り!
そこに刺繍入りの衿カバー。

赤ちゃん用のおくるみは鹿が刺繍されてて愛らしい。

「しまいこんでいたけど、久しぶりに出したら、嫁入り前のことを思い出したわ。作るの大変だったのよ」とポツリ。

たしかに、趣味の手芸ではなく、必要不可欠な嫁入り持参品。この出来で嫁の評価も決まってしまう。

そういえば「乙嫁語り」でパリヤさんが嫁入り前に
必死で刺繍していたなあ。

こんなに美しいチェイズを用意できたアイシェは
さぞかしいい嫁がくる、と言われたことでしょう。

今ではこのようなチェイズは用意されないそう。

でもとてもかわいいので、もっといろいろ見てみたいな、と思います。手芸心をくすぐられます。

はあ、やっぱり、いいものだな、手刺繍、手編みは。

うっとりしながら、アイシェの家で手仕事満喫。

そして、かわいい生まれたての猫ちゃんも!

重力を感じさせない軽やかさ。

近くのバス停には羊も。
毛が刈られたばかりでスリム。

ロバもいました。

コワンルック村、とてもいいところでした。
ふつふつと、絨毯織りツアーをやりたいという思いがつのってきました。

ウール糸をキリマンで紡ぎ、村で植物採集をして草木染め、
そしてアイシェのお家でのベランダに設置された機で
各自の絨毯を織りあげて、完成したものを持ち帰る、と。
5日間滞在かな?

トイレも水洗で、もちろん電気もきています。
電波も届きます。
スマホは現地でSIMカードを買って入れるとベンリです。

アンタルヤからそんなに離れていないので、
泊まるのはアンタルヤのホテルでも十分可能。
アイシェの家に泊めてもらうこともできそう。

旅の日程が多めにとれる方は、絨毯織りと前後して
アンタルヤや、イスタンブールを観光してもよさそう。
1週間ほどしかとれない方も、なんとかギリギリ大丈夫そう。
5月下旬は航空券もそんなに高くない時期ですし、気候もちょうどいいです。
トルコの人たちは子ども好きが多いので、お子さまと一緒にいらしていただいても。

この貴重な絨毯織り、みんなで体験して、みんなで記録して
残していきませんか?
あと、これは絶対、楽しいと思うのです。

ご興味のある方、来年の5月20日あたりからのスケジュール調整をぜひ!

vol.06につづく。

トルコ 手仕事をめぐる旅 vol.04 |トルコの家庭料理

断食月(ラマダン)は、日の出から日没までの間、飲食を断ちます。
アイシェの家に行ったのは、ラマダンの時期。
そのためアイシェも断食中。なのに、我々のためにお昼ご飯を用意してくれました。

ソフラと呼ばれる食事用の布を敷き、そこに大きなお盆を載せます。
で、ソフラを膝にかけます。コタツみたい。
以前は、このソフラも手織りが使われていました。が、今はほとんど機械織りだそう。
アイシェの家でも機械織りでした。

そう思うと、Baharで2月に開催したキリム展で、あれだけ状態のよい
手織りのソフラが揃っていたのは、かなり奇跡的なことだったんだな、と
感じ入ります。(みなさまにお求めいただき、ほとんど残らなかったのですが)

お米入りのチキンスープは、鶏の出汁とレモンの酸味が心地よく、するするとお腹に入る。
トマトもキュウリもチーズも香草も美味しい。
オリーブオイル、自家製!
バルサミコ酢みたいなのは、ぶどうの搾り汁を煮詰めた「ペクメズ」というもの。濃厚で健康によさそう。

直径50cmはある大きくて薄いパン「ユフカ」で
好きな食材を巻いていただきます。

ユフカは作るのが大変なので、近所のみんなで集まって
一気に作る保存用のパン。食べる前に水で湿らせてやわらかくします。積み上げられている様子は圧巻。

デザートにはスイカ、そして桑の実をいただきました。

トルコって、食べ物がとても美味しいです。

レストランもおいしいのですが、なんといっても、
ご家庭でいただく食事が最高!これはどの国に行っても思います。
お手伝いします、というていで、お台所にお邪魔するのが
本当に大好き。へえええ、こんなふうに作るのね、と。

来年、アイシェの家で、お料理教えてもらえたらいいな〜〜〜〜。

お昼ご飯のあとは、アイシェのお嫁入り道具(チェイズ)を見せてもらいました。
voi.o5につづく。

トルコ 手仕事をめぐる旅 vol.03 |絨毯織り体験

アイシェの織った絨毯を見ていたら、織っているところを見たくなりました。願わくば、ちょっと織り体験もできないかしら?と。

断食の時期で、体もしんどいでしょうに、アイシェは見せてくれました。ミフリの野中幾美さんとの信頼関係よ!ありがとうございます。

が、あいにくアイシェの家の機からは、織り上がった絨毯を外したばかり。
そんなわけで、機に絨毯がかかっているという、近所のお家に連れていっていただきました。大工さんのお家です。

しばらく織ってなかったようで、緩んだ経糸をキュッと引き締めて、作業開始!

緯糸は玉にして、棒にぶらさげ、上にわたします。
糸は手紡ぎで、身近にある植物などで染められています。
糸玉がぶらさがっている様子も、作業してる二人の後ろ姿もなんて愛らしいのでしょう。
二人が履いているのは「シャルワール」と呼ばれるパンツ。
ゴムのズボンですが、履きやすくて可愛い。これにもキュンキュン。欲しい!

さあ、織ります。
というか、結びます。
2本の経糸を指でとって、間に緯糸を通し、ループを作り、引き下げます。そして緯糸をナイフで切ります。次々と1段分の緯糸を結んでいきます。次に平織りをし、キルキットという金属製の重い櫛のようなもので、緯糸をきっちり打ち込んでいきます。最後に絨毯用のハサミで長さを整えます。

私もちょこっと体験させてもらいました。

緯糸でループ作って、引き下げて、あれ、ナイフでなかなか切れない。ううう、糸が長くなる。これって無駄に糸を使っちゃう。
え?キルキット、重いんですけど。エイッ、エイッと打ち込む。

で、絨毯用のハサミで切る、と。
え?切れない? あれ、もっと経糸に押し付けるようにして、と言われつつも難しい。

でも、織ってみたい〜〜〜〜。 そしたら、来年の今頃、織りを教えてもいいよ、と。
40cm角くらいのものだったら、織れそう。

断食月が終わった頃、気候的にも5月はとても気持ちがいいし、糸紡ぎも、染めも体験させてもらえそう。お料理も教えてくれるって。

何人かで来るとよさそうです。
一緒に行きませんか?
5月20日あたりから。

かつて絨毯で有名だったこの村、一家に一台はあった木製の機も多くが廃棄され、
次世代の織り手はいないそう。たった15ー20年の間の出来事です。
村で草木染めをする機会も減ってきて、そのレシピもだんだん忘れ去られてしまっているそう。

アイシェが染料となる植物を見せてくれました。
身近にある植物で染めているんですね。ちなみに、下にいるのはカメです。のどかですね。

手仕事、世界中で同じようなことが起きていると思います。
少し前までは当たり前だったもの。

さみしく感じてしまいますが、生活のことを考えると、若い人たちに後を継げばいいじゃないとは言えないし。できるだけ記録を残しておけるといいのでしょうが。幾美さんが取材して、残していますが、そのメモも整理するの、大変そう。けれど、何もないと、再現できないし。

でも、単純にやってみたいという気持ちが強いんですけれど。とてもおもしろそう!

そして何より、村で過ごす時間が心地いい。
薫風の織り体験、きっと、最高!

あと、アイシェは絨毯織りだけでなく、刺繍も料理も得意!
vol.04につづく。

トルコ 手仕事をめぐる旅 vol.02 |絨毯職人、アイシェに会いに

アンタルヤ2日目の5月28日(月)、
野中幾美さんと15年以上のおつきあいとなる、アイシェさんに会いに行きました。

彼女が暮らす村は、アンタルヤから約40kmほど北にあるドシェメアルトゥという地区のコワンルック村。
車で約1時間。ガタガタ道を車に揺られて、ではなく、舗装道路で快適。
トルコの道路はどんどん整備されて、車での移動もずいぶんラクになったそう。

ここでは「ドシェメアルトゥ絨毯」という伝統の絨毯が作られてきたのですが、アイシェはこの絨毯を織ることができる最後の織り手の一人。
今では織り手は3人ほどしかいないそう。

見たい!
会いたい!

連れていっていただきました。

アイシェです!

入るなり、圧巻の絨毯!あらゆるところに敷き詰められています。そして、足で踏んだ時の感触がキュキュとしてとても気持ちいい。ぜ〜んぶ、アイシェが織ったもの。






風通しのいい家で、絨毯やアイシェのお嫁入り道具の刺繍ものを見せていただきました。

アイシェは絨毯織りの名手ですが、ここしばらくは体調や家のことなどもなり、織っていなかったそう。
久しぶりに織った絨毯ができあがったと聞き、その絨毯を織機から外す日に、
野中社長はアイシェの家に行ったそう。その時の写真。

私がアイシェの家に行ったのは、そのひと月後。
まだ、ベランダの手すりにかけてありました!

見せていただきました。ちなみにここのベランダ、と〜〜〜〜っても気持ちいです。
風がとても心地よかった。お昼寝したい。

糸を自らの手で紡ぎ、天然染料で染め、織る。
なんとも手間がかかります。
できあがったものはやはり美しい!
まだうぶ毛が残る新しい絨毯。

これは売ってくれるものなのかな?
こんなに時間をかけて作ったものだし。
でも、聞いてみたらOKとのこと。
わ、とても嬉しい!
そんなわけで、久しぶりに織った絨毯は我が家に。このコです!

アイシェのことを思い出しながら、この絨毯と暮らします。

でね、ちょっとね、織ってみたくなりましたよ、絨毯。
vol.03につづく。

トルコ 手仕事をめぐる旅 vol.01 |ミフリ魔窟へ

2019年5月下旬から6月上旬にかけて、トルコへ行ってきました。

今や、インターネットがどこでも使えるので、PCとiPadがあれば大丈夫!
撮影などもない時期だったので、トルコの手仕事の現在を早く見ておきたくて!

私が見せてもらった手仕事をめぐる状況や、こんな素敵なものがあるよ、
というのをしばらくつづってまいります。

いつもお世話になっている、ミフリの野中幾美さんを訪ねました。

その野中幾美さんの日本でのイベントが豪華3本だてで、この夏開催です!

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九州・鹿児島のGood day加治屋店 2Fで「ちいさなトルコバザール」が7/13-17
世田谷の生活工房ギャラリー3Fで「トルコ・トカットの木版バスク展」が7/20-9/1
浅草のかまわぬ2Fで「トルコの手仕事展」7/26-8/19
詳細は、リンクをご覧くださいませ。
興味深いお話も聞ける大チャンスですよ!

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5月26日(日)の夜に成田を出発。
12時間のフライトを経てイスタンブールの空港へ。
新しくできたばかりで、ピカピカ。
入国審査を終え、エスカレーターを上がると、スタバです。
たぶん、このあたりが空港で待ち合わせをするにはいいのではないでしょうか?

5月27日(月)早朝、国内線に乗り換えてアンタルヤ。
朝7時に着いて空港からタクシーで、市内のホテル(ラマダプラザアンタルヤ)へ。
ご参考までに、タクシーは65TLでした。
国内線の到着時間が朝早いので、アーリーチェックインを頼んでおくといいです。

はあ、これが地中海というものか!青いな!

プライベートビーチやプールもある大きなリゾートホテルで、とても快適です。

シャワーも浴び、さっぱりしたところで、野中社長がお迎えに来てくださいました。

そして、ついにミフリショップへ!
一緒にいらっしゃるのは義弟さんです。ミフリ社員さん。(私もミフリ社員になりたい)

中に入ると、絨毯、キリムがわんさか!魔窟です!
(この他にもイーネオヤがたくさんあるんですよ)

すごい、すごいけど、もう、どうしたらいいの????

予告しちゃうとですね、10/10〜13、17〜19に、
トルコの絨毯、キリム展を開催予定。
今回はその企画展のためのセレクトをするためにうかがったのですが、
こ、こんなにあると、どこから????

ざっと見せてもらい、アンタルヤには5日滞在するので、その間に
写真を撮り、候補をネットにアップして、これが見たいというご要望があったものを
中心に日本に送ろう、ということに。
なんせ重量もあるので送料がかかり、関税というものもかかるのです〜。
なるべく経費を抑えたほうが、商品価格も安くできるので。
この写真は、今後、アップしていきますので、みなさまのお声をぜひお聞かせくださいませ!

そんなこんなで、この日だけでも、かなりな絨毯、キリムを見せてもらい、
おなかいっぱい。

で、汗もかいたし、ビールを飲みに行きましょう、と。わ〜い、待ってました!
イスラム圏ですが、アンタルヤは観光地なので、わりかし、ビールも飲めるそう(ホッ)

野中社長がアンタルヤの旧市街(カレイチ)を案内してくださいました。
港が近く、美しくて、かわいい街並みです。


空の青さと、ブーゲンビリアのピンクよ!
この旅で大活躍したプティット・アフリケーヌさんのアフリカンプリントのパンツとバッグとの相性もよし😁

こんなところで暮らして、お仕事しているなんて、うらやましい。
地中海をのぞむレストランで、メニューを選ぶ、女社長!
かっきい!風格がありますね。


キョフテをいただきました。
お、おいしい♡


この旅で、どれだけ飲んだかわからないほど、飲んだエフェスビール。
ピルスナーで、ぴりりとしたモルトとホップの香りが楽しめて、もう大好き!

明日は、「アイシェの村に行きましょう」と野中社長。
ずっと会いたかった、絨毯を織っているアイシェのところへ行けると聞き、
うれしい〜〜〜〜〜!
そんなわけで、アンタルヤの初日を満喫しました。

では、vol.02に続きます。

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